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悔しさ力に住民投票で決着を   「協定書」議決

  3月13日、この日を忘れません。

 大阪市会本会議で大阪市をなくす「特別区設置協定書」が維新の会と公明党の賛成多数で可決されました。採決に先立ち日本共産党大阪市会議員団を代表して反対討論に立ちました。いわゆる「都構想」関連で何回登壇したことでしょう。

 予定通りとはいえ議決の瞬間にこみあげた悔しさ。「ほんとにそれでいいのか!」と叫びたい思い。この悔しさを力に住民投票で決着をつけるしかありません。

 「協定書」可決後に提案された、住民投票に必要なお金は9億3000万円。週明け16日の財政総務委員会や18日の本会議で減額修正を求めたとしても、市長は提案通りに遂行する気配です。住民投票でNО!をつきつけて、この9億3000万円もムダづかいだったと口いっぱい言えるよう、全力をつくすのみです。

 長いですが、反対討論をそのまま掲載させていただきます。

 

  私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、「議案第174号 特別区設置協定書の承認について」に反対の討論を行います。 

 この協定書は、昨年の10月27日、本市会で手続き的にも無効なら中身も市民にとって百害あって一利なしとして、多数により否決されたものです。

 ところが突然のどさくさまぎれのヤミ取引によってよみがえらせた上、本来なら一から練り直すべきであるにも関わらず、否決されたものと寸分たがわぬものを厚顔にも再び出してくる、およそ民主主義のルールなど無きに等しいものと言わざるをえません。

 同時に、「都構想」とは全くの名ばかりで、その実、大阪市廃止・分割プランと呼ぶにふさわしいものではありませんか。この点でもこの協定書は、到底認める事はできません。

 以下、具体に指摘いたします。

 第一に、1889年、明治22年以来の文化と伝統のある大阪市が、文字通り消えて無くなってしまうという事です。よって、267万市民は、大阪市民ではなくなり、それぞれ5つの特別区民になるという事にほかなりません。

 申し上げるまでもなく、戦後、地方自治、地方分権の推進という事が叫ばれて参りました。国から地方へ、府県から市町村へと少なからぬ権限移譲もすすめられて来た訳です。そして5大都市と呼ばれた時代から今や20政令市の時代となりました。

 まさにこういう時に「広域行政の一元化」という、一見もっともらしい謳い文句の下に、こともあろうに大阪市をつぶして、政令指定都市としての財源、権限を府に取り上げようとしているのです。とんでもない話です。

 いったい府に移管させようとしている大学、病院、消防、下水等 269の事業の中で、広域行政、広域事業といえるものがどれだけあるでしょうか。わずかに特別支援学校関係の26事業など、35の事業にすぎません。残り234の事業は、基礎自治体たる大阪市として、市民ニーズに沿って、当然実施すべきもので、元より二重行政とのそしりを受けるものでもありません。 確かにこれまで大阪市は景気対策などと称してムダな大型開発の失敗を重ねて、莫大な負の遺産を市民に負わせて参りました。しかし、それは府と市が併存している事が原因ではなく、政策選択の間違いによるものです。一人の指揮官の東京都においても、臨海副都心や新銀行東京などの大失敗があるではありませんか。何でもかんでも二重行政のせいであるかのように言い、大阪市をなくして府に集権する、地方分権の流れに全く逆行するものと言わなくてはなりません。 

 第二に、5つの特別区に分割されてニア・イズ・ベターどころか、くらしの予算がカットされ、市民サービスは悪くならざるを得ないという事です。

 市税の根幹である固定資産税、法人市民税、都市計画税などが府税となって、府に召し上げられてしまいます。財政調整交付金として還元するではないかと言われますが、どの程度交付されるのか、府の条例で決定されるので、協定書では定かではありません。特別区に残る自主的な税源は、個人市民税、軽自動車税、たばこ消費税だけとなって、今の1/4に激減することになります。

 その上、庁舎建設などイニシャルコストが600億円、ランニングコストが20億円覆い被さってくるのです。一層厳しさが募る事は、明かではありませんか。

 固定資産税等の財政調整財源を府に移管する大学等の費用に充てた上、残りを特別区に交付することとしていますが長期財政シミュレーションによれば、、府は5年間で33億円の黒字になるのに比べ、特別区は1067億円の赤字になる計算となっています。つまり、仕事に合わせて財源を持っていくといいながら、黒字だけをもっていき赤字は特別区にそっくり押しつけられるうえに初期コストなどがオンされるわけです

 ですから、5年間で320億円の赤字が増えて、都合1387億円もの収支不足となり、配当された処分検討地を全て売却し、財政調整基金を全額取り崩しても、新たに借金しなければ赤字の穴埋めをすることが出来ません。市民サービスを良くするなど出来ようはずがないではありませんか。

 その上、特別区間のさまざまな矛盾も看過できません。

 阿倍野再開発は南区に帰属するにもかかわらず、公債費は全特別区で負担する。中央図書館は帰属は中央区だが費用は全特別区で、というのも奇妙な話ですし、財政調整もひどい話です。中央区は一人あたり歳入額が調整後61.5%に落ち込む。北区は79%に落ち込むとともに1人あたり歳入額が平均の1.16倍から0.92倍と平均以下になり、5つの特別区の最低額になってしまうという事です。それぞれ独立した基礎自治体になる以上、とても許容することは出来ないのではないでしょうか。東京23区が都区制度を廃止してそれぞれ一般市になろうとする動きを強めている事は、当然だと思います。

 大森わたる東京大学名誉教授は「私自身は都区を廃止すべきだと言っている。23区は東京都から独立したらどうかと提案しています。東京都制廃止論です。30年かかって、少なくとも特別区側はやっとその方向を目指そうとしているのです。それなのに何をお考えになったのか知らないけれども、廃止しようとしているものを大阪はこれからつくると仰っている。これはもう時代錯誤だと思います」と言われています。その通りだと思います。

 その上、100を超える事業を一部事務組合として、共同処理することになっています。ニア・イズ・ベターに逆行するとともに、国民健康保険などは特別区間の保険料収入と滞納額のアンバランス等どう調整するのか、といった新たな矛盾が生ずることになります。

 まさに中核市どころか、半人前の自治体にすぎないということではありませんか。それに、システム改修、財産の分割、職員の配置転換、人材養成などなど膨大な事務作業を要するわけです。大阪市廃止・分割など全く非現実的と言わねばなりません。

  第三は、一人の指揮官で、ムダな大型開発に突き進もうとしている事です。

 元々市長が、平松氏との討論の中で「地下鉄を売ってでも淀川左岸線延伸部やります」と宣言して、のち「都構想」なるものを打ち上げた事は、周知のとおりです。

 そして、大阪市長をなくす、すなわち大阪市を廃止するとして知事を辞職してまで市長選にうって出て、今、その目的に向かって、言わば総仕上げにかかろうとしているわけです。

 大阪市の政令市としての財源、権限を府に吸い上げて、大阪府知事の権限とを合わせもった文字通り一人の指揮官でなにわ筋線の鉄道建設や、カジノを中核とする統合型リゾートの誘致などにまい進しようという事です。

 特に夢洲へのカジノの誘致には、ことのほか熱心ですが、しかし今でもギャンブル依存症の患者さん536万人と世界一の深刻さではありませんか。これに一層拍車をかけるのは必定です。そして同時に、7000億円とも1兆円とも言われるビッグプロジェクトのアクセスや基盤整備に莫大な市民の税金が注ぎ込まれかねないものです。またぞろ、ムダな大型開発の失敗、その二の舞にならざるを得ないのではないでしょうか。好き放題に大阪をメチャクチャにするなど断じて認めることはできません。

 さて、最後に申し上げたい事は、財政調整にしろ町名にしろ庁舎問題にしろ、肝心な事が全く明確にされていないこの「協定書」をもって住民投票にかけることは、市民に文字通り白紙委任を求めるに等しいということです。特に庁舎問題は、協定書には一言も触れられていません。

 東区、中央区、南区の3区は、庁舎を建設するとしているものの、どこに建設するのか、建設用地はあるのかなど、全く明らかにされていません。

 すべて住民投票後に先送りで、いったい市民は何をもって賛否の判断をすればいいのでしょうか。無責任にも程があると言わなくてはなりません。

 大阪市廃止・分割は市民にとって百害あって一利なしです。営々と紡いできた大阪市の歴史を断ち切り、半人前の特別区を孫子の代に手渡すわけにはいかいとの思いで一杯です。

 政令指定都市としての権限や財源を生かしつつ、区政会議などの一層の発展で、都市内分権を拡充し、市民の声が反映される大阪市にしていくことこそ求められていると申し上げ、反対討論といたします。

 

 

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