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しゃんしゃんと進めちゃいけない    第26回法定協議会

 12日、大阪市廃止を議論する法定協議会の第26回目が行われました。

 4月の選挙結果をテコに、来秋住民投票のスケジュールありきで、どんどん日程がこなされて、制度案がつくられそうな雰囲気。足枷になるような意見は「建設的でない」と排除して。どれだけ議論してもしたりないほどの改変なのに。

 設置コストを抑えるために、区長と区議会と危機管理と政策企画さえ特別区にあればいい。現在の市役所を皆が使えばいい、みたいなことを知事を筆頭に言い出している。だったらなんのために分割するのか。ほんとにそんなことでいいのか。一からの議論をしないといけないのに。

 このまましゃんしゃんと決まっていくのか。
 怖い・泣きたい・胃が痛い

でも、そんなこと言ってはいられません。住民投票は不可避だと覚悟して、一日も早く、「大阪市をなくすな!」の草の根の動きを広げなければなりません。

各会派が意見表明や修正提案を、という時間に、私が行った意見表明をアップします。少し長いですが、ご覧いただけたら幸いです。

 わが党の意見は、6月21日の第24回法定協で申し上げたことと基本的に変わるものではありません。

 すなわち、大阪市を廃止して、428もの事務事業を大阪府に移管しても、個々の事業の財源も権限も大きくなるわけではなく、それらのいわゆる広域的な行政が進むものでも、よくなるものでもないということです。例えば広域インフラにしても、いつにかかって国頼みというか、国の意向次第であり、府市が一つになったとしても、スピーディに物事が進むなどということではありません。それに、淀川左岸線もなにわ筋線も、良し悪しは別にして動き出している状況の中で、これ以上何を進める必要があるのかということでもあります。要するに、大阪市廃止・分割の結果、出来上がる大阪府は、実の伴わない、図体だけは大きくなるけれども、従来の広域機能に、大阪市域のみの消防・下水など、大阪市域の基礎自治機能をも取り込んだ、まことにいびつな体制になるということです。ともかく、大阪府の中に、府と並び立つ大阪市という政令市があることが問題であるかのような議論がありますが、とんでもないと思います。そんなことをいっていたら横浜や名古屋、神戸なども解体しなくてはならなくなってしまいます。申し上げるまでもなく、広域行政は府の責任です。大阪市廃止うんぬんの前に、大阪府がその固有の責任を果たすことこそ先決だと思います。

 そうしてつくられる4つの特別区についてですが、市町村の基幹税目である固定資産税や法人市民税などを府に移管させられるとともに、街づくり・都市計画の権限すら喪失するなど、財源、権限ともに一般市にも及ばない、まさに半人前の自治体に成り下がるということです。

 そもそも、東京特別区がつくられたのは、1943年、S18年、戦時下の非常事態の中、時の東条内閣によって帝都防衛のためと称して強行されたものです。そういう成り立ち故に、戦後74年、長きにわたる自治権拡充にもとりくんでおられますが、やっぱり、特別区を廃止して、せめて一般市にという運動が続けられていることは、まことに教訓的だと言わなければなりません。しかも、今や政令市は20市にも及び、一定の人口を有する基礎自治体なら我先に政令市に名乗りを上げようとする中で、その当の政令市を返上しようとするなどということは、とても常識では考えられない、文字通りの愚挙というほかないと思います。その上、4つの特別区に分割することによって、330人の職員増やシステム運用経費の増などに加え、庁舎建設やシステム改修費用など、膨大なイニシャルコストを要して、勢い住民サービスはカットせざるをえなくなるということで、市民にとって百害あって一利なしであり、一貫して申し上げているように、大阪市廃止・分割には私たちは反対です。そのための住民投票にも賛成できません。

 尚、前回第25回の法定協議会で嘉悦学園の報告書に対する質疑をごく短時間行ったところですが、改めてもう少し補足的な意見を述べたいと思います。

 前回も申し上げた通り、嘉悦学園の報告書は、人口50万人程度で1人当たり歳出額が最小となり、以後、人口が増えるにしたがって1人あたり歳出額も大きくなるといういわゆるU字カーブを描くとする研究理論を、立証するものとはなっておりません。それは、前回お示ししました、東京特別区の、人口と1人当たり歳出額との関係を見ればはっきりいたします。人口50万人の江東区が37万円に対して、72万人の大田区、73万人の練馬区がそれぞれ35万円、91万人の世田谷区にいたっては31万円と、江東区より6万円も低くなっています。まったくUにはならない。U字カーブは立証されていません。むしろL字だといえると思います。確かに人口の大きい大都市では1人当たり歳出も多くなるという傾向は一般的に見られるといえなくもない場合もあるようですが、それは、比較的物価が高く、したがって人件費等行政コストが大きいがゆえであって、それとてU字を描くようなものではないことは報告書にも示されている通りです。ましてや、都市を分割して人口を減らしたからといって、物価が下がるわけでもなし、1人あたり歳出が大きく低減するなどということは考えられないことです。

    そのうえ、嘉悦学園の報告書には、比較すべき数値に誤りがあるということがはっきりしました。理論値は全市町村の2016年度決算ベースで算出しているにも関わらず、比べるべき大阪市の実績値は、2016年中核市相当の予算という具合。正しい数字で比較するなら歳出削減の可能性どころか、これ以上削減する余地などまったくないということがわかるわけです。

 今回、中核市11市と大阪市の中核市並みの歳出実績値、いずれも公債費、扶助費を除いたものですが、これを比較してみました。大阪市の、今申し上げた、中核市並みの1人あたり歳出実績値は22万7000円です。人口57万人の八王子市では、19万6000円で、大阪市と比べ少し低くなっているものの、人口53万人の姫路市が25万1000円、人口45万人の尼崎市が23万3000円と、逆に大阪市より少し高くなっている、というふうに、全体としては、大阪市とこれら中核市の間にはほとんど差異がないということが見てとれると思います。人口270万人と、これら11市と比べて、突出した人口を有する大阪市において、かくのごとしであり、4つの特別区に分割すれば、年1千億円もの歳出削減の可能性が生ずるとする嘉悦学園の報告書がいかに現実から遊離しているものであるかということです。

 ともかく戦後、地方自治体の合併はあまたありますが、分割は1例もありません。合併の場合は、スケールメリットが働くので、初期コストの回収に要する一定の年数がたてば、一人あたり歳出はある程度、自然にというか、そう無理なく減らすことができることは確かだと思います。2つの自治体を一つにすれば、庁舎も2つから1つにする事も出来るでしょうし、各種行政委員会も2から1に、職員も、首を切るということは出来ませんが退職不補充で一定年数たてば、減っていくということになろうかと思います。もちろん、首長も2人から1人、議員も定数を減らすことができるということで、行政水準を落とすことなく歳出を削減できる。これは現実的に理解できる話です。その点、大阪市を4つの特別区に分割する場合は、庁舎の数も増えるし、各種行政委員会等も1つから4つに、職員も少なく見積もっている素案でさえ330人増えるし、首長も1人から4人に、議員も近隣中核市並みにすれば、148人増えるというように、スケールメリットが失われて、一人あたり歳出額は確実に増えるということになり、結局、行政水準なり市民サービスを落とすことなしには歳出を削減することはできないわけです。

 いやいや、ニアイズベターで住民サービスが取捨選択されて、歳出の適正化が行われるはずだと言われますが、確かに行政区単位でみると高齢者比率の高いところとそうでないところ等があるし、コミュニティバスなど交通アクセスの拡充を切望するところ、子育て施策の拡充を要求するところ等ありますが、しかし、4つの特別区単位でみると、余り大きな差異はみられませんし、国との関係などから考えても、制度的なものや大枠の施策を大きく減らすことは難しいと思います。結局、特別区長が作為的に、これまで市独自で実施してきたもの、例えば敬老パスとか、塾代助成などの施策をカットする以外に歳出削減は出来ないということです。

 以上の通り、4つの特別区に分割しても、歳出削減にはつながらないうえに、むしろ逆にコストが増えて、住民サービスをカットせざるをえなくなる。市民にとって何一つ良いことはない、というのが私たちの意見です。