採決に先立つ各会派の意見表明で、あらためて私たちが「大阪市廃止・分割は百害あって一利なし」だと思う理由を述べ、仮に住民投票が実施されれば、広範な市民の皆さんと力を合わせて否決し、ピリオドを打つために全力をあげる!と結びました。
この間、30回にわたる法定協議会での議論を通じて、大阪市廃止・分割、いわゆる都構想なるものが、時代錯誤の代物であり、いかに市民にとって有害無益なものであるかが、よりはっきりしたと思います。
そもそも都構想とは、ただただ大阪市を廃止して、市の持つ財源・権限を府に取り上げるものにほかならない。ここに本質があります。
それは、かつて橋下徹氏が、知事を辞職して市長選挙に出馬する際、「大阪市をぶっ潰す」と繰り返したことに象徴されていますが、この間の議論で、まさに、特別区や特別区民がどうなるかなどはどうでもよく、大阪市をつぶすことがすべてだということが、いっそう、はっきりしたということです。
あらためてですが、国から地方へ、府県から基礎自治体への地方分権、権限移譲の流れの中で、当然、全国の基礎自治体がより権限の獲得・拡充につとめ、今や政令市は20市にも及ぶとともに、中核市も全国58市に達していることは申し上げるまでもありません。
こういうなかで、こともあろうに人口規模で全国第二の政令市をとりつぶすなどということは、地方分権の流れに逆行する最悪の地方自治破壊の暴挙と言わざるを得ません。
すなわち、「広域的」というレッテルを貼って、大阪城や天王寺動物園、鶴見緑地、長居競技場など貴重な財産とともに、消防や水道や下水道などと言った基礎自治体本来の業務までも含む428もの事務事業を府に移管して、組織としては巨大な大大阪府ができあがりますが、個々の事業の権限や予算が増えるわけではありませんから、充実するわけでもなんでもなく、何ら府民にとってプラスにはなりません。それどころか、大阪府内全体の広域行政に責任を負うべき大阪府が、大阪市域のみに限定される消防、水道、下水などの基礎自治体の事務事業まで担うことになるという、非常にいびつな体制ができあがるということです。
もとより、このような制度いじりで大阪の成長や活性化がはかられるものではなく、ましてや府と市が並立しているゆえに発展しないなどと言うのは、全く根拠がありません。そんなことを言えば、横浜も名古屋も京都市も神戸もつぶさなくてはならないという理屈になってしまいます。
一方、大阪市をなくして4つに分割して設置される特別区たるや、平均67万人と、堺市を除く府内のどの自治体よりも大きな基礎自治体であるにもかかわらず、市町村の基幹税目である固定資産税や法人市民税等を府にもっていかれるとともに、地方交付税すら直接あたらないなど、極めて自主財源が乏しいうえに、自ら水道・下水道などの事業も運営することもできなければ、消防組織も持てないという、まさに一般市にも満たない“半人前の自治体”に成り下がるということです。
そのうえ、330人の職員増や、住基ネット等のシステムの改修とその運用経費の増など、市民にとって全く無駄な費用が発生するわけで、いきおい住民サービス等は削らざるを得なくなるということです。
まさに踏んだり蹴ったりで、たとえ、大阪府から毎年20億円10年間補填されたとしても、コスト増の穴埋めはできないし、ましてやいくら住民サービスは維持するものとする、などと協定書に書いたとしても、特別区としては、ない袖は振れないということになります。
加えて、なすべき庁舎建設も行わず、各区役所などに職員を詰め込んだうえ、なお、入りきれない職員を中之島庁舎に配置し、都合3つの特別区の職員を同居させる、間借りの合同庁舎などというに至ってはもはや何をかいわんやだと申し上げたい。
災害時どうするのか、日常業務ができるのか、ということもありますし、住民はいったいどこへ行けば目的が果たせるのか右往左往しなくてはならなくなります。地方自治体の職員は、住民とともにあるべきなのに、その自治体に住んでもいなければ通勤もしない、その自治体を通ることもなく暮らしている。そんなことで、地域の問題点や住民の願いや思いがわかるはずがないと思います。
そのうえ、特別区議会議員の定数も、現行市会定数の83にとどめるという始末で、中核市や東京特別区の3分の1以下なわけですから、区民の声を区政に反映しづらくなるということにほかなりません。結局、住民サービスを維持できなくなることといい、自前の庁舎をもてないことといい、二元代表制のもと、一方の区民代表である議員の定数が少なすぎることいい、もろもろ、ニア・イズ・ベターは看板倒れどころか、地方自治体の体すらなしていないと言わなくてはなりません。
尚、東京特別区がせめて一般市にと長年、運動し続けていることを想起すべきと申し上げておきます。
最後に、大阪都構想すなわち、大阪市を廃止し、4つの特別区に分割することは、まさに百害あって一利なしです。仮に住民投票が実施されたとしても、党派を超えた幅広い多数の市民の皆さんと力を合わせ、キッパリと否決して、文字通りピリオドを打つために全力をあげることを表明して、“方向性”への反対といたします。
12月25日は、ちょっとしたイベントが2つ。
① 記者会見を開きました。
翌26日は、大阪市廃止・分割(トコーソー)の案の方向性について起立採決するという節目となる第31回法定協議会。4月の選挙後、絶対反対と言っていた公明党が賛成に回ったことで、それ以降、6月に再開した法定協議会では、この数を頼んだ運営が目に余ります。まともな議論はいっさいなく、市民にとって大事なことがどんどん“方向性の確認”という名で是とされてきました。こんなやり方、おかしいおかしいと思い続けて、26日を迎えるにあたり、おかしいことはおかしいと言っておかなくてはならないと思い、記者会見を開かせていただきました。自分から、記者会見をしたいと思ったり言ったりしたのは初めてです。内容がよくなって反対→賛成になったのでは決してなく、政局のみだ、ということも市民の皆さんにどうしても知っていただきたい。そうして、住民投票になっても否決できる地域の声づくりを、市民の皆さんとともに頑張りたい。そんな思いをしゃべらせていただきました。
② 大阪市に予算要望を行いました。
日本共産党大阪市会議員団として大阪市に来年度の予算要望。非交渉会派は市長への要望ではなく財政局長に要望。大阪市がどうなるかわからない、という難しい時期ではありますが、市民のくらしと安全・安心を重視した地に足の着いた予算編成を望みます。
陳情が7件。そのうち、主に大阪市廃止に関わるものについて質疑。一つは、「みんなで住民投票!」の皆さんが出された陳情。永住外国人も住民投票の投票権をもつよう法改正を求める意見書を出してほしい、というもの。地方自治法でも「住民」とはそこに住所のある人。同じ街にくらし、納税し、公共サービスを利用し、ともに地域をつくっている住民同士なのに、国籍を理由に締め出すことは理不尽です。しかも、わが街・大阪市をなくすかどうかの住民投票。議会として、国に法改正を求めるのは当然!と採択を求めましたが、維新の会は不採択、自民・公明が継続審査で、いずれも過半数にならないので継続審査となりました。
この間の法定協議会の議論の異常さを指摘し、こんなことなら議論をやめて、という陳情も。特別区設置のための何百億ものコストは「必要なコスト」というそれまでの吉村氏らの言い分とは真逆の“合同庁舎”案。こんな大転換もたった24分の議論。議員定数の議論はたった13分で打ち切って、今の83人をあてはめるだけ。異論があっても相手にしないで提案通りでいくという会長。質疑しているとカッカしてくる。こんなやり方で大阪市廃止・分割の協定書がつくられていいはずがありません。議論をやめて、という陳情に大賛成です、と表明して質疑を終えました。